前提:指針の義務と、研修の位置付け
指針は、カスハラに対する方針と、前もって定めた対処の内容を、管理職を含む労働者に周知することを、事業主が講じなければならない措置としています(指針 第4項⑴イ・ロ)。周知の例として、社内報やパンフレット、社内ホームページなどに記載して配ること、対応マニュアルに記載して周知すること、研修や講習を行うことが挙げられています。
そのうえで厚労省の企業マニュアルは、研修などを全員が受けること、定期的に行うこと、入社時にも行うことを重要としています(マニュアル 4.2.2(4)、P.34)。これは指針の義務そのものではなく、マニュアルが示す進め方です。
研修は周知の手段です。方針、相談窓口、発生後の対応の手順は、どの方法を選んでも自社で決める必要があります。
5つの方法の比較
1. 厚生労働省の無料資料を使う
- 費用: 無料
- 内容: 企業マニュアル(令和8年度改訂版)に、方針の例、対応の流れ、研修の進め方などがまとまっています。
- 受講記録: 仕組みはないので、自社で一覧を作ります。
- 新しく入った人: 資料を渡して説明する手順を自社で決めます。
- 向いている職場: 担当者が資料を読み、社内向けに内容をまとめる時間を取れる職場。
2. 社内の文書で周知する
- 費用: 印刷代などのみ
- 内容: 自社の方針と対処の内容を、社内報やパンフレットなどの文書にして配る、または対応マニュアルに載せる。指針が周知の例として挙げる方法です。
- 受講記録: 読んだ確認の欄を作るなど、自社で工夫します。
- 新しく入った人: 入社時に渡す書類に入れておくと漏れにくくなります。
- 向いている職場: 人の入れ替わりが少なく、全員に直接渡せる職場。
文書のひな形は、当サイトの無料資料(方針、社内ルール、初動フロー、相談記録台帳)にあります。
3. ユーキャン「カスタマーハラスメント対策講座」(eラーニング)
- 費用: 1名11,000円(税込)。1名から申込みできます。10名以上は別の定額制の案内があります(定額制の価格はここでは扱いません)。
- 内容: 動画17本(約2時間21分)、確認テスト20問、学習前・学習後テスト各10問、ワーク5回。講師つきの動画講座です。
- 受講記録: 管理者は受講進捗状況管理システムを使えます。修了者は修了証を発行できます。
- 利用期間: 標準学習期間1か月、受講開始から3か月までコンテンツを利用できます。
- 新しく入った人: 1名ごとの料金の場合、その都度申し込みます(10名以上は定額制の案内があります)。
- 支払い: 公式サイトでは、申込み後のキャンセルはできないとされています。
出典: ユーキャン 法人向け カスタマーハラスメント対策講座(2026年11月6日確認)
4. cushara「カスハラ」(カスハラ対策のクラウドサービス)
- 費用: 年額一括のご契約を月割りで表示しています(税別)。Starter 月2,384円(年額28,608円、10名まで)、Professional 月7,840円(年額94,080円、50名まで)。消費税10%が別にかかります。初期設定込みの「義務化対応パック」は年額194,080円(税別)で、11名以降は1名あたり年1,000円(税別)が加算されます。
- 内容: 公式サイトでは、指針が求める措置に対応する機能として、電話・対面などの多チャネルの記録、AIによる深刻度の判定、対応スクリプトの生成、マニュアルの自動生成、相談窓口の設定などを挙げています。プランにより使える機能や回数が異なります。スタッフ向けの教材を整理する「研修・教育管理」は、料金表ではEnterpriseプラン(月23,840円、税別)の項目です。
- 試用: 7日間無料、カード登録不要で、公式のよくある質問では試用後の自動課金はないとされています。
出典: cushara 公式サイト(料金プランの欄、2026年11月6日確認)
5. カスハラ研修ナビ(当サービス)
- 費用: 月額4,980円(税込)、同時に50名まで同じ料金。1年で59,760円が目安です。
- 内容: スタッフがスマホでリンクを開き、目安約10分で読む研修と確認テスト。自社の方針、発生時の対処、相談窓口を研修の中に表示できます。動画はありません。
- 受講記録: 入力した名前と受講日が一覧に残ります。本人確認や理解度の証明にはなりません。
- 新しく入った人: 同じリンクを送るだけです。退職した人の記録は削除できます。
- 試用: 14日間無料。申込みにはカード登録が必要で、無料期間の後は解約するまで毎月自動で請求されます。
当サービスが向かない場合
- しっかりした講義を受けさせたい: 当サービスの研修は目安約10分の文章で、講師の動画や専門家の監修はありません。内容の厚みが必要なら、動画講座のほうが合います。
- 受講する人が少なく、入れ替わりもない: たとえば5名が1回受けるだけなら、ユーキャンは5名で55,000円(税込)で、当サービスの1年分(59,760円)より安くなります。
- 10名以下で、記録の仕組みを安く持ちたい: cusharaのStarterは年額28,608円(税別、税込で約31,469円)で、当サービスの1年分より安くなります。料金表の「研修・教育管理」はEnterpriseプランの項目なので、スタッフへの研修の配布に何を使えるかは、公式サイトでご確認ください。
- 51名以上を同時に記録したい: 当サービスは1契約で同時に50名までです。
- 研修だけで義務対応を終えたい: どのサービスでも、研修で進められるのは主に周知の部分です。
当サービスが合いやすい場合
- パートやアルバイトの入れ替わりがあり、入った人にその都度伝える手間を減らしたい
- 自社の方針や相談窓口を、研修と同じ画面で伝えたい
- 誰がいつ受けたかを一覧で確かめたい
どれが合うか迷う場合は、先に自社に足りない措置を確認すると、何を伝えればよいかがはっきりします。
自社の不足を確認する(無料・約2分)