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障害福祉事業所のカスハラ対策、義務化で何をする?

2026年10月1日から、カスハラ対策は、障害福祉サービス等を運営する事業主を含め、すべての事業主の義務です。何が義務かは厚生労働省の指針で確かめ、相談の受け付け方などの工夫は、障害福祉の現場向けマニュアルで補うと進めやすくなります。

更新日: 2026年11月6日 / 指針、企業マニュアル(令和8年度改訂版)、障害福祉の現場向けマニュアル(令和4年3月)の本文で確認

まず、2つの資料の関係を押さえる

義務の中身: カスハラ対策の指針(2026年10月から)

指針第4項が定める5つの措置(方針の明確化と周知、相談体制、起きた後の対応、特に悪質なものへの対処方針と体制、相談者のプライバシー保護と不利益な扱いをしない旨)が、講じなければならない措置です。企業マニュアルは、これがすべての事業主に課された法律上の義務で、2026年10月1日から施行されるとしています(企業マニュアル はじめに)。指針は「顧客等」の例に、施設・サービスの利用者とその家族を挙げています(指針 第2項⑷)。

現場の工夫: 障害福祉サービス等事業者向けマニュアル(令和4年3月)

厚生労働省のサイトで公開されている「職員を利用者・家族等によるハラスメントから守るために」です(一覧ページでの名称は「障害福祉の現場におけるハラスメント対策マニュアル」)。利用者や家族等からの身体的暴力、精神的暴力、セクシュアルハラスメントを扱っています(同マニュアル P.4)。

このマニュアルは義務化の前に作られたもので、当時の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)では、顧客等からの著しい迷惑行為への取組は「望ましい」とされていたと説明しています(同 P.2、P.5)。いまは新しい指針の措置が義務なので、義務の範囲は新しい指針で確かめ、このマニュアルは障害福祉ならではの対応の参考として使います。

障害のある方の求めと、利用者の特性への理解

カスハラ対策の指針は、障害のある方が不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨を伝えること自体は、カスハラに当たらないとしています(指針 第2項⑴)。また、対策を講じる際は、障害者差別解消法の不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供義務に留意する必要があるとしています(指針 第4項柱書)。

障害福祉の現場向けマニュアルは、利用者・家族等の心身の状況に対する職員の知識やスキルの不足でハラスメントが起きることもあり、その場合は職員に利用者・家族等の特性についての知識や具体的な対応の教育を行い、支援やコミュニケーションの工夫を話し合うとしています(同 P.12)。

相談を受け付ける仕組み

指針の義務は、相談窓口を前もって決めて周知することと、担当者が適切に対応できるようにすることです(指針 第4項⑵)。障害福祉の現場向けマニュアルは、そのための工夫として次のものを挙げています。

  • 方針や相談対応の体制・流れを、安心して相談できることや窓口の連絡先とあわせて、書面でわかりやすく案内する(同 P.8〜9)
  • 同性の担当者を男女それぞれ設ける、弁護士など外部の専門家に委託するなどで、相談の心理的なハードルを下げる(同 P.9〜10)
  • 相談を受けたら、さえぎらずに話を聴き、相談者の意向や要望を必ず記録する。抜け漏れがないよう受付票の書式を用意しておく(同 P.10、受付票の例は P.11)
  • 相談の内容は、本人の了解なしに担当者以外に共有しない。相談したことで人事考課などで不利益な扱いをしないことを伝える(同 P.10)

相談した人のプライバシーを守る措置と、相談などを理由に不利益な扱いをしない旨を定めて伝えることは、指針でも義務です(指針 第4項⑸)。

小規模な事業所での配慮

障害福祉の現場向けマニュアルは、相談を受け付けた後は、相談者の意向によりつつ、原則として相談者が行為者と距離を置けるよう配慮するとしています。小規模事業者や勤務形態の事情でそれが難しい場合は、複数名で対応できるよう調整し、相談者と行為者が1対1になる状況を作らないようにするとしています(同 P.12)。

判断が難しい場合は抱え込まず、事業者内で協議し、必要に応じて第三者委員や相談支援事業所、行政などに相談すること、その際は相談者の了解を得てプライバシーに配慮することも挙げています(同 P.12)。

指針の義務としては、事実関係を早く正確に確かめること、被害を受けた職員への配慮を速やかに行うこと、再発防止の措置を取ることが定められています(指針 第4項⑶)。

職員への周知と研修

指針の義務である方針と対処の内容の周知(指針 第4項⑴)は、研修で行うこともできます。障害福祉の現場向けマニュアルとあわせて、職員向けのリーフレットが作られており、朝礼での読み合わせや職員研修の参考資料にすることが勧められています(同 P.3)。企業マニュアルは、研修などの全員の受講と定期的な実施を重要とし、パートやアルバイトにも入社時に研修や説明を行うよう勧めています(企業マニュアル 4.2.2(4)、P.34)。

まず、自社に足りないものを確認

指針の5つの措置のうち、足りないものがないかを確かめてから、現場向けマニュアルの該当箇所を読むと、進めやすくなります。家族の強い要求と利用者の言動への初動、記録の見本は障害福祉事業所向けの一式にまとめています。

自社の不足を確認する(無料・約2分)

方針と社内ルールのひな形、相談記録台帳は無料資料に、スタッフ向けの、読む目安が約10分(推定)の研修と受講記録の一覧の例はデモにあります。自社のスタッフ向けに使う場合の料金は料金ページ(月額4,980円・税込)にあります。