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飲食店のカスハラ対策、義務化で揃えるもの一式

アルバイトを1人でも雇っている飲食店は、2026年10月1日から、お客様からのカスハラへの対策が義務になりました(労働施策総合推進法第33条)。揃えるのは、店の方針と全員への周知、相談の受け先、起きた後の動き方です。飲食店でまず決めるのは、店長がいない時間に誰が対応を引き取るかです。

公開日・更新日: 2026年11月6日 / 指針(令和8年厚生労働省告示第51号)と、農林水産省・厚生労働省「飲食店のためのカスタマーハラスメント対策ガイドライン」(令和8年2月)の本文で確認

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飲食店で起きる場面

飲食店向けガイドラインに、対応の例とともに載っている場面です。

オーダーミスのあと「辞めたほうがいいぞ」と言われる

オーダーミスに対して、「お前みたいなのがいると店も迷惑なんじゃないか? 辞めたほうがいいぞ!」と言われる。ガイドラインは、ミスへのお詫びはしたうえで、人格を否定する言葉はやめてほしいと伝える、としています。

出典: 飲食店向けガイドライン P.15〜16(侮辱・暴言)

名前や最寄り駅をしつこく聞かれる

お客様が従業員のフルネームや自宅の最寄り駅、通っている学校を聞き、断っても何度も迫る。ガイドラインは、業務と関係のないことには答えられないと伝え、続く場合は退店してもらう、としています。名札をつけないなど、個人が狙われない工夫も挙げています。

出典: 同 P.3〜4、P.15〜16

「誠意を見せろ」と言われ続ける

お客様が「誠意を見せろ」と要求し続ける。ガイドラインは、これまでの対応が店の考える誠意だと伝え、お客様の考える誠意の内容を確かめ、繰り返し続く場合は退店してもらう、としています。適切に対応しても要求や質問が30分以上続く場合は、それだけで長時間化の目安に当たるともしています。

出典: 同 P.5〜8、P.17〜18

飲食店向けの一式の見本

指針の義務は、方針の周知、相談体制、起きた後の対応、悪質なものへの対処の方針と体制、プライバシーの保護と不利益な扱いの禁止です。お客様向けの掲示と事案の記録は、指針が「効果的」「考えられる」とする取組で、義務そのものではありません。どれも、ガイドラインの例をもとに、個人店や数店舗の店で使う形に書き直した見本です。そのまま使えば義務を満たせるものではありません。店の実情に合わせて決めてください。

方針(抜粋・見本)

〔店名〕は、お客様のご不満に真剣に向き合い、店の誤りは謝り、できることはすぐに直します。一方で、従業員への暴言、暴力、しつこい個人的な質問は、どなたからであっても認めません。従業員と、ほかのお客様を守るために、店として対応します。

こうした言動を受けたら、一人で対応を続けず、その時間の責任者に引き継いでください。引き継いだあとは店が対応します。相談したことで不利益に扱うことはありません。

もとにした箇所: ガイドライン P.3〜4、P.13〜14、P.19〜20(「従業員」と「他のお客様」を守ることを基本方針にしている店の例)

店内の掲示(見本)

ガイドラインは、店内掲示やSNSでカスハラを認めないと伝えることを工夫に挙げ、店の雰囲気を壊さないことも大事としています(P.11〜12)。当サイトのお客様向けの掲示文(無料・A4)は、店名を入れてそのまま印刷できます。ご意見を改善に生かす旨を先に書いた文面です。

店長がいないときの初動(抜粋・見本)

  1. 暴力や危険を感じたら、まず離れる。2人以上いれば、1人が110番する。
  2. 苦情は、口を挟まずに聞き、店の誤りがあればその点だけ謝る。何があったか、何を望んでいるかを聞く。
  3. 自分で決められないこと(返金、無料、出入り禁止など)は約束せず、その時間の責任者に引き継ぐ。
  4. 責任者は、適切に対応しても要求や質問が続くときは30分を目安に、同じ内容が3回続いたときも、これ以上は対応できないと伝え、それでも続けば退店を求める。大声などの振る舞いは、2回注意してもやめなければ、3回目に会計(ここまでに出した分)をして退店してもらう。
  5. 退店を2度お願いしても帰らないときは、警察に連絡すると伝え、警察に相談する。
  6. その日のうちに記録する。

もとにした箇所: ガイドライン P.3〜4、P.7〜10、P.15〜18。時間と回数はガイドラインが示す目安で、2回注意して3回目に退店は、大声が続く場合の例です。「その時間の責任者」は、シフト表の時間帯ごとに名前を書いておきます。アルバイトだけの時間なら、その時間で一番経験の長い人を責任者にし、返金や出入り禁止のように判断が要ることは、その人が店長に電話して決めてもらう形が現実的です。ガイドラインに載っている店の例でも、アルバイトはクレームかカスハラかを判断できないので、店舗責任者の2次対応が重要としています(P.19〜20)。

記録する項目(見本)

日時 / 場所(どの席か、電話か、SNSか) / 言われたこと・されたことを、そのままの言葉で / 対応した時間(何分)と回数(何回目か) / 最初に対応した人と、引き継いだ責任者 / 店がした対応(謝罪、作り直し、返金、退店のお願い) / 録音・防犯カメラの有無 / 警察への相談の有無 / 対応した従業員への声かけ / 完了日

もとにした箇所: ガイドライン P.3〜4(事実関係の正確な確認)、P.11〜12(防犯カメラは記録にも使える)。無料の相談記録台帳に主な項目が入っています。時間・回数・録音の有無は「とった対処」の欄に書き足してください。

揃える順番

今日

無料のチェックで、指針の措置のうち足りないものを確かめます。そのうえで、シフト表の時間帯ごとに、カスハラを引き継ぐ責任者の名前を書きます。アルバイトしかいない時間帯があるなら、その時間に電話する人の携帯番号と、最寄りの交番の電話番号をレジ裏に貼ります(ガイドラインの裏表紙にも、この連絡先を書き込む欄があります)。

今週

上の見本と無料の方針ひな形を店名で書き換え、朝礼や引き継ぎのときに全員に伝えます。30分・3回の目安を店でも使うか、もっと短くするかも、このときに決めます。新しく入ったアルバイトには、初日に同じ内容を渡します。

今月

退店をお願いするときの手順(2人以上で伝える、録音するなら伝えてから)と、暴力があったときの警察との連携のしかたを、店で確認します(P.7〜8、P.11〜12)。名札の表示も、このときに見直します。

ガイドラインの目安を使うときの注意

義務の中身は、厚生労働省の指針で決まっています。方針を決めて全員に伝える、相談に応じる体制を作る、起きた後に対応する、特に悪質なものへの対処を決める、相談した人のプライバシーを守り不利益に扱わない、の5つです。パートやアルバイトも対象です。

飲食店向けガイドラインは、店での判断の目安と言い方の例です。指針の義務を言い換えたものではなく、店のルールを決めるときの材料になります。使うときに押さえる点は次のとおりです。

無料の資料だけで足りる場合

店長が口頭で伝えるだけだと、店長がいない時間のアルバイトは、何を言われたら引き継いでよいのか分かりません。逆に、店長がほぼ毎日店にいて、スタッフが少なく入れ替わりもない店なら、飲食店向けガイドラインと無料の資料で揃えられます。カスハラ研修ナビ(月額4,980円・税込、同時に50名まで、14日間無料)が役に立つのは、アルバイトの入れ替わりが多く、新人に各自のスマホで同じ内容を読んでもらい、受講を記録しておきたい店です(研修のデモ)。

まず、自社に足りないものを確認

12の質問(業種はこのページから引き継ぐので省きます)に答えると、指針の措置のうち店に足りないものと、次に読む資料が分かります。登録は要りません。

当サービスで今使えるのは、無料のチェックと資料と、有料の研修、受講記録、相談窓口と困ったときの連絡先の登録(スタッフの研修画面に表示)、管理画面で方針・発生時の対処・初動フロー・掲示文をひな形から作る機能です。スマホからの事案の記録と年1回の見直しは準備中です。

自社の不足を確認する(無料・約2分)

方針と社内ルールのひな形は無料資料に、パートやアルバイトへの研修の考え方はカスハラ研修はパート・アルバイトにも必要?にあります。