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スーパー・小売店のカスハラ対策、義務化で揃えるもの一式

パートやアルバイトを1人でも雇っているスーパーや販売店は、2026年10月1日から、お客様からのカスハラへの対策が義務になりました(労働施策総合推進法第33条)。揃えるのは、店の方針と全員への周知、相談の受け先、起きた後の動き方です。本部のない店でまず決めるのは、レジで困ったときに誰を、どの順で呼ぶかです。

公開日・更新日: 2026年11月6日 / 指針(令和8年厚生労働省告示第51号)と、厚生労働省の委託事業で作られた「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」(令和7年3月)の本文で確認

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スーパーの現場で起きる場面

スーパーマーケット業編マニュアルに、企業への聞き取りで出た事例として載っている場面と、マニュアルが示す対応の例です。

セルフレジで通っていない商品を指摘したら、逆上して脅された

マニュアルはこの事例を「精神的な攻撃」に分け、怒鳴られたときと同じ対応が使えるとしています。「それは、私に対して言っていますか」と問いかけたり、「そのように怒鳴られると怖いです」と自分の気持ちをそのまま伝えたりして、相手に冷静になってもらう、という対応です。暴行や傷害になったときは、対応した人やほかの従業員、お客様をその人から離し、警備員などと複数で対応し、状況に応じて警察への通報も考える、としています。

出典: スーパーマーケット業編マニュアル P.14〜16

レシートのない商品の返金を求め、「トップを出せ」と繰り返す

購入の事実が確かめられない商品の交換や返金の要求、店として十分に対応したあとも「トップを出せ」と繰り返すことは、どちらもマニュアルに事例として載っています。マニュアルは、理由を十分に確かめてから判断し、店に非があっても非が認められる範囲だけ謝る、としています。一度でも過度な要求に応じると「あの時は○○をしてくれた」と言われ、次から断りにくくなる、とも書いています。

出典: 同 P.14、P.15

同じクレームで何度も来店し、電話をかけてくる

マニュアルの対応例は、連絡先を確かめ、不合理な問い合わせが2回来たら注意し、3回目には対応できないと伝える、です。それでも続けば、店の中で共有して会話の内容を記録し、窓口を1つにして管理職が引き継ぎます。その後も続くなら、威力業務妨害罪を視野に警察への通報も考える、としています。

出典: 同 P.14、P.15

スーパー・小売店向けの一式の見本

指針の義務は、方針の周知、相談体制、起きた後の対応、悪質なものへの対処の方針と体制、プライバシーの保護と不利益な扱いの禁止です。ここに並べる呼ぶ順番や合図、記録の項目は、マニュアルにある企業の例をもとに、本部のない店や数店舗の店で使う形に書き直した見本です。店名、時間帯ごとの責任者の名前、相談を受ける人を書き入れ、全員に伝えたところで、指針の方針の周知と相談体制の形になります。

方針(抜粋・見本)

〔店名〕は、お客様のご意見に真剣に向き合い、店の誤りは謝って直します。一方で、暴力や暴言、根拠のない要求、従業員個人へのつきまといは、どなたからであっても認めず、十分に説明してもご理解いただけない場合は、店として注意し、お断りします。

従業員は、こうした言動を受けたら一人で抱えず、すぐ周りに知らせて、その時間の責任者に相談してください。相談があれば、店が対応します。相談したことで不利益に扱うことはありません。

もとにした箇所: マニュアル P.12(業界共通の方針)、P.17〜18(方針に入れる要素と方針の例)

呼ぶ人の順番(見本)

マニュアルに載っている会社の流れは「一次対応者 → 店舗責任者(現場上長) → 店舗運営部 → 本社総務部」です(P.18)。本部のない店なら、たとえば次の形になります。

  1. レジやカウンターで最初に対応した人
  2. その時間の責任者(シフト表に時間帯ごとに名前を書く)
  3. 店長、または店主・社長(不在なら電話)
  4. 警察(暴力、脅し、退去しないとき)。法的な判断が要るときは弁護士

レジを離れられない人が呼べるように、合図を決めておきます。マニュアルには、最初に対応した人がお客様と1対1にならないよう、決めた言葉で店内放送をして、聞いた従業員や店長がすぐ駆けつける会社の例があります。本人が放送できないときは、近くの従業員が代わりに流します(P.18)。小さな店なら、ふだんの「レジ応援お願いします」と聞き分けられる1行(たとえば「〇番レジ、〔店長の名前〕さん、お願いします」)と、放送・インカム・内線のどれで流すかを決めれば足ります。

当サービスでは、管理画面で「困ったときの連絡先」(3件まで)を登録し、スタッフの研修画面の一番上に順番どおり表示できます(有料)。

場面ごとの初動(抜粋・見本)

  1. 暴力や危険を感じたら、まず離れる。ほかのお客様も離す。2人以上で対応し、警察に通報する。
  2. 怒鳴られたら、「そのように怒鳴られると怖いです」と自分の気持ちをそのまま伝える。決めた合図で人を呼ぶ。
  3. 返金や交換を求められたら、レシートや購入の事実を確かめる。自分では約束せず、責任者に引き継ぐ。
  4. 名前や勤務日、連絡先を聞かれたら、「業務と関係のないことは申し上げられない決まりです」と伝える。
  5. 土下座を求められたら、店に落ち度があっても応じない。
  6. 十分に説明しても同じ要求が続くときは、責任者がその時点から30分ほどを目安に、お引き取りをお願いする。
  7. その日のうちに記録する。

もとにした箇所: マニュアル P.15〜16。3、6、7のうち「自分では約束しない」「責任者が引き取る」「その日のうちに記録する」は、マニュアルにはなく、店で足した項目です。30分は、お客様の話を聞いて店から十分に説明したことが前提の目安で、時間が過ぎたことだけで判断しない、とマニュアルは書いています。カスハラかどうかは一人で決めず、複数人で客観的に判断するよう勧めています(P.15)。

記録する項目(見本)

日時 / 場所(何番レジ、サービスカウンター、売場、電話) / 言われたこと・されたことを、そのままの言葉で / 求められたこと(返金、交換、謝罪など)と、レシートや購入の事実を確かめたか / 何回目の来店・電話か / 最初に対応した人と、引き継いだ責任者 / 店がした対応 / 録音・防犯カメラの有無 / 警察への相談の有無 / 対応した従業員への声かけ / 完了日

もとにした箇所: マニュアル P.19(主任・販売課長による事実確認の記録や録音、店長による判断)、P.22(事例を記録して再発防止に使う)。無料の相談記録台帳に主な項目が入っています。何回目か、レシートの確認は「とった対処」の欄に書き足してください。

揃える順番

今日

紙1枚に、上の「呼ぶ人の順番」の4段を書き、2と3に名前と携帯番号、4に最寄りの警察署か交番の電話番号を入れます。人を呼ぶ合図の1行もその紙に書き、レジ裏とバックヤードに貼ります。手書きで構いません。終わったら無料のチェックで、ほかに足りないもの(方針の周知、相談した人のプライバシーの守り方など)を確かめます。

今週

上の見本と無料の方針ひな形を店名で書き換え、朝礼や引き継ぎで全員に伝えます。2回注意して3回目に断る、30分を目安にする、をこの店でも使うかもこのときに決めます。マニュアルは、社内で決めたルールを「派遣社員やアルバイト含む」従業員に教えるよう書いています(P.20)。新しく入った人には、初日に同じ内容を渡します。

今月

返金・交換で応じる範囲(レシートがない場合をどうするか)と、カスハラかどうかを最後に判断する人を決めます。マニュアルには、正当な苦情をカスハラと誤らないよう、最終判断を店長(不在なら副店長)がする会社の例があります(P.20)。つきまといを受けた従業員がいたときのシフトの変え方、夜間の帰り道の付き添い、学生のアルバイトなら保護者への連絡も、ここで決めます(P.21)。

マニュアルを使うときの注意

義務の中身は、厚生労働省の指針で決まっています。指針は、カスハラの事実が確かめられたときの配慮の例として、事案の内容や状況に応じて、店長などが本人に代わって対応すること、本人と相手を引き離すこと、暴行・傷害・脅迫など犯罪に当たり得る言動を警察に通報することを挙げています(第4項⑶ロ)。

スーパーマーケット業編マニュアルは、指針より前の令和7年3月に作られた業界の参考資料です。店のルールを決める材料で、指針の義務を言い換えたものではありません。使うときに押さえる点は次のとおりです。

無料の資料だけで足りる場合

店主が毎日店にいて、従業員が数人で入れ替わりもない店なら、スーパーマーケット業編マニュアルと無料の資料で揃えられます。カスハラ研修ナビ(月額4,980円・税込、同時に50名まで、14日間無料)が役に立つのは、パートやアルバイトの入れ替わりが多く、新人に各自のスマホで同じ内容を読んでもらい、受講を記録しておきたい店です。有料版の研修には、スーパーの仕事の方向けの場面も入っています(研修のデモで見られるのは飲食店の場面だけです)。

まず、自社に足りないものを確認

12の質問(業種はこのページから引き継ぐので省きます)に答えると、指針の5つの措置のうち店に足りないものが一覧で出て、足りないものごとに使える無料資料が分かります。登録は要りません。

当サービスで今使えるのは、無料のチェックと資料と、有料の研修、受講記録、相談窓口と困ったときの連絡先の登録(スタッフの研修画面に表示)、管理画面で方針・発生時の対処・初動フロー・掲示文をひな形から作る機能です。スマホからの事案の記録と年1回の見直しは準備中です。

うちの店に足りないものを確認する(無料・約2分)

方針と社内ルールのひな形は無料資料に、相談の受け先の決め方はカスハラの相談窓口、小さな会社はどう決める?に、パートやアルバイトへの研修の考え方はカスハラ研修はパート・アルバイトにも必要?にあります。